妊娠中は生魚は食べちゃダメ?生魚を避けるべき理由と正しい食べ方について。
「妊婦さんが生魚を食べるのは良くない」って話、聞いたことありませんか?
魚には栄養素がたくさん含まれているので通常は積極的に摂りたい食品とされていますよね。なのに何故、妊娠中は食べてはいけないのでしょうか。
今回は妊娠中に生魚は本当にダメなのか。避けた方がいい理由や対策についてみていきます。
ー*-*-目次ー*-*-
妊娠中に生魚はダメ?
妊娠がわかったらお祝いや親戚との会食など、お寿司やお刺身をだされる機会も増えると思います。ですが実は、妊婦さんが生魚を食べるときには注意が必要なんです。
妊娠や出産に関する情報は世代によって差があるものなので、ご年配の方には妊婦が生魚を食べることの危険性について知らない人も多いのが現実です。お寿司を食べられないと断った時、「そんな話聞いたことない!」とお姑さんとトラブルになったなんて話もよく聞きます。振る舞われたお寿司などを断る際は相手を傷つけないよう配慮し、可能な限り事前に旦那さんなどに伝えておいてもらうようにしましょう。
妊婦さんが生魚を食べない方がいい理由
妊婦さんが生魚を食べない方がいい理由は主に2つです。
水銀摂取の危険
公害についての学習などで、水銀が人体に有害であることはご存知だと思います。
魚は身体の中に微量の水銀を蓄積させています。食物連鎖の上位に位置する大型の魚程その量が多く、マグロやキダイ、クジラやイルカ等には多くの水銀が含まれているとされています。(イルカはクジラとして販売されていたりします)
この水銀を妊婦さんが摂取することでお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす場合があるんです。
水銀が多く含まれるとされる魚と摂取量の目安
日本人が一食に食べる魚の量が平均しておよそ80gとされています。
※80gはお刺身一人前や切り身一切れに相当する量です。
下記では一人前(80g)を単位として、含まれる水銀の量を●で表しています。
お腹の中の赤ちゃんに影響を与えない量の目安は1週間に●1個分までです。
注意が必要なもの
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ・・・◐半個
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メパチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ・・・●1個
コビレゴンドウ・・・●2個
バンドウイルカ・・・●8個
特に注意の要らないもの
キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなど。
例えば、キダイの焼物を一切れ食べるとするなら、その週はミナミマグロの刺身一人前はOK。キンメダイの酒蒸しは半個分オーバーするのでNGというわけです。
●1個分を食べてしまった週は、残りの献立を注意の要らないツナ缶やサバなどの魚を使って考えるようにしましょう。
参考資料:厚生労働省のパンフレット
赤ちゃんに起こる悪影響は?
注意の必要な魚を食べても良いとされる目安量を大きく超えて食べ続けた場合に限りますが、生まれた後に音を聞いた場合の反応が1/1000以下のレベルで遅れる場合があるとされています。
お腹の赤ちゃんはお母さんから取り込んだ水銀を身体の外に出すことができません。
なので身体の中にそのまま蓄積させてしまい、成長に悪影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
この影響は「将来の社会生活に支障をきたすような重度なものではない」とされています。とはいえ母親としては、少しでも影響のあるものは避けておきたいですよね。
食中毒のリスク
水銀ともう一つ、注意したいのが食中毒です。
妊娠中は免疫力が低下するため普段よりも食中毒や食あたりになりやすいので、生魚を食べるときは注意が必要です。
下痢や便秘になっても妊娠中は薬で治すのも難しく、無理に力むことで流産や早産を引き起こしてしまうこともあります。(特に初期は抗生剤が飲めません)
魚以外の食品もなるべく食中毒の危険の少ないものを選び、極力加熱して食べるようにしましょう。
トキソプラズマ(寄生虫)は大丈夫?
トキソプラズマは妊婦が感染すると流産や早産、母子感染により胎児に重篤な症状を引き起こしてしまう恐れのある寄生虫です。
生肉や土いじり、感染した猫のフンに触るなどでヒトにも感染するとされていますが、魚からヒトへの感染はしないとされています。
なので魚を食べる際には気にしなくてもいいかと思いますが、どうしても気になる際は過熱して食べるようにしましょう。
リステリア菌の心配は?
リステリア菌は食中毒を引き起こす細菌の一種です。感染すると風邪やインフルエンザに似た症状が出ます。妊婦が感染すると流産したり、胎児に影響が出る可能性があります。
海外ではリステリア菌への感染を防ぐため、妊婦は生魚を食べることは控えるようにと言われています。
ですが日本では規制対象にはなっておらず、その理由としては、刺身などからの感染事例がほとんどないからだそうです。
日本では食品から確認されるリステリア菌数がごく僅かなようなので、あまり神経質になる必要はないようです。
(賞味期限を大きく過ぎた食品をそのまま食べたりしなければ大丈夫です。)
ただし、いくらやとびこなどの魚卵は控えるようにしましょう。
魚卵にはリステリア菌が含まれている可能性が高く、妊娠中はまず食べない方がいいでしょう。
魚自体は食べてもいいの?
魚には良質なたんぱく質や普段の食事で不足しがちな栄養素がたくさん含まれているため、妊娠中もなるべく食事に取り入れたい食材です。
血管障害の予防・アレルギー作用の抑制に効果があるとされるDHAをはじめ、トコサヘキサエン酸、EPAなどの有用成分、骨を強くするカルシウムなど、妊婦さんが積極的に摂取したい栄養素がいっぱい詰まっています。
水銀や細菌にさえ注意して調理すれば安心して食べることができるので、妊娠中は特に積極的に食べたい食品です。
それでも魚をたくさん食べるのに抵抗がある場合はサプリメントに頼るのもいいでしょう。こちらは妊婦さんや授乳中のママのために作られたサプリメントなので安心です。
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妊娠中に魚を食べる場合の注意点。
妊娠中に魚を食べるとき、正しく食べるための注意点をいくつか挙げておきます。
タラやサーモンをなるべく選ぶ
タラやサーモンは妊婦さんが食べるのに最もオススメの魚になります。
水銀の含有量が低く、海外の研究では妊娠中に摂取すると胎児のADHD発症率が大きく低下すると言われています。
ADHDとは・・・
注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい、英: attention deficit hyperactivity disorder、ADHD)は、多動性(過活動)、不注意(注意障害)、衝動性を症状の特徴とする神経発達症もしくは行動障害である[1]。ICD-10における多動性障害(英: hyperkinetic disorder)はほぼ同一の概念である。
食べる際は極力火を通す
食中毒の危険性を回避するために魚を食べるときは加熱調理を心がけましょう。
とはいえ生魚が食べたい時もありますよね。
日本の魚は基本的には生で食べても大きな問題はないとされているので、含まれる水銀の量や賞味期限、保存状態に注意して食べる分にはいいと思います。
下ごしらえは念入りに、新鮮なものを食べる
食中毒を引き起こす菌は主に内臓に多く含まれています。なるべくなら処理済みのものを購入し、購入後はいつまでも保管せず早めに食べるようにしましょう。
魚卵は食べない
いくらやとびこなどの魚卵はリステリア菌が心配なので避けましょう。
また、魚卵は塩やしょうゆなどで処理がされていることが多いため、塩分の摂りすぎにもつながります。
ウナギは避ける
ウナギに含まれるレチノールというビタミンAは妊娠中に大量に摂取すると胎児に影響を及ぼすとされています。
産婦人科でもビタミンAに関しては食べないように指導が入るところが多いです。
つわりでむかむかした気分や胸やけが続くと急にさっぱりしたお刺身が食べたくなったり、義実家へお邪魔した際に予期せずお寿司が出てきたりと妊婦さんが生魚を食べる機会も多いと思います。
妊娠中の食事の制限は辛く感じるかもしれませんが、ルールを守って食べる分にはいいとされるものがほとんどです。
自分のためにも赤ちゃんのためにも何でも我慢するのではなく、食べ方のルールを知っておくことが大切だと思います。